前回の記事では、会社員の給与から天引きされる税金・保険の中身について書きました。
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会社員の方でも「住宅ローン控除・ふるさと納税」については、実際に利用されている方は多いと思います。
しかしそれ以外にも、確定申告や所定の手続きをすれば、得をするもの(節税)があります。
今回は、意外と知られていない節税の方法
「会社員が実践できる節税10選」についてご紹介していきます。
目次
会社員が実践できる節税10選
今回ご紹介する節税の方法については、会社員の視点です。
下記、確定申告の要・不要についてはご注意ください。
「確定申告が必要なもの」
- 住宅ローン(初年度だけ必要)
- 医療費控除
- 雑損控除
- ふるさと納税
- 災害減免法による税金の軽減・免除
- 特定支出控除
「確定申告が不要なもの」
- 生命保険料控除
- ふるさと納税ワンストップ特例制度
- iDeco・NISA
- 寡夫(寡婦)控除
- 扶養控除
住宅ローン控除
住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んでマイホームを購入した人が受けられる減税措置です。
対象になるのは、一戸建(土地・建物の両方)・マンションどちらでも構いません。
増築・リフォームについても対象です。(細かい要件はありますが。)
適用条件は異なりますが新築、中古のどちらの物件でも受けることができます。
会社員が住宅ローン控除を受けるには、最初の年に確定申告が必要です。
翌年以降は勤務先に必要書類を提出すれば、年末調整で手続きをすることができます。
この制度は、住宅ローンの
「年末時点での残高の1%が10年間、所得税(及び住民税)の額から控除され、最大控除額は10年間で400万円(1年で40万円)」です。
いつ入居したかによって控除される額は異なります。
新築・中古・リフォームそれぞれの要件の一例は下記になります。
「新築住宅の要件」
- 取得した日から6カ月以内に居住している
- ローンの返済期間が10年以上
- 床面積が50平方メートル以上 等
「中古住宅の要件」
- 家屋が建築された日から取得までの期間が20年以内(マンションは25年)
- 一定の耐震基準を満たす耐震住宅(新耐震基準)であること 等
「リフォームの要件」
- 一定の省エネ・バリアフリー・耐震リフォームであること
- 工事費用は100万円超であること 等
生命保険料控除
生命保険料控除は、年末調整時に保険会社から郵送される証明書を
会社に提出すれば確定申告の必要はありません。
これらの控除は、全額控除になるわけではなく、上限金額がありますので注意です。
生命保険料控除制度には、大きく分けて「一般生命保険料控除」「介護保険料控除」「個人年金保険料控除」があります。
生命保険料の控除額は、契約の時期によって新契約と旧契約と分けて計算します。
ふるさと納税(寄付金控除)
ふるさと納税とは、全国の自治体から寄付先を選んで寄付することで、寄付金控除を受けることができる制度です。
各自治体から寄付金のお礼として、返礼品(ご当地品など)を貰うことができます。
ふるさと納税は、自己負担額の2,000円を除いた全額が控除の対象となり、所得税から受けることができます。
所得税の計算の際に寄付金額を所得額から差し引くため、所得税額が低くなります。
(所得控除の対象となる金額は、2,000円を超える部分)
会社員の場合、寄付先が年間あたり5自治体以下の人は、
ふるさと納税ワンストップ特例制度が適用され、確定申告が不要となります。
(※自治体に所定の申請書を提出する必要があり。)
医療費控除
医療費控除は基本的に、ケガや病気のための通院費(病院に行くまでの交通費も含む)が対象です。
その他にも下記等があり、認められている範囲は広いです。
- 歯医者の治療費
- 薬局で購入する処方箋のいらない市販の風邪薬
(ビタミン剤などの予防、健康増進のための医薬品は対象外) - 介護老人施設の費用
- 妊婦の定期検診や検査通院費
※人間ドッグや健康診断などは医療費控除の対象外です。
医療費控除は、医療費の全額が控除対象となるわけではなく、下記、表のように
「1年間に支払った医療費」-「保険金などの各種補てん金」-10万円を引いた額が控除されます(最高200万円まで)。
所得金額が200万円未満の人は、「1年間に支払った医療費」-「保険金などの各種補てん金」-「総所得金額の5%」の額が控除されます。
災害・盗難にあった時
災害・盗難にあった時は「雑損控除」と「災害減免法による税金の軽減・免除」の2種類があります。
控除対象は、住宅、家財、衣服など生活に必要な財産のみで、住宅の取り壊し費用など災害に関連して
やむなく支出した費用があれば、「災害関連支出」として控除対象となります。確定申告時には、領収書の添付が必要です。
雑損控除
「被害に遭ったのが通常の生活に必要な財産」であり、損害の原因が「震災や火災、盗難、横領」などである必要があります。
その為、自宅でなく別荘が被害にあった場合や、骨董品や貴金属などが被害にあった場合には該当しません。
また、保険で賄われる分は対象となりませんが、保険金以上の損害が発生している場合には、利用することができます。
下記のいずれか高い金額が控除できる金額です。
①:「(損害金額+災害関連の支出−保険金)−総所得金額」 ×10%
②: 災害関連の支出―5万円
災害減免法による税金の軽減・免除
災害で、住宅や家財の時価の2分の1以上の損失があると、直接税金を軽減・免除してもらうことができます。
確定申告時には、損失額の明細書を自分で作成して申告書に添付する必要があります。
災害減免法は所得金額の合計額が500万円以下なら税金が全額免除となりますが、その年しか受けることができません。
雑損控除と災害減免法のどちらを受けるか・どちらが有利かについては、自身で選択する必要があります。
損失額が大きくて今年だけでは引ききれないような場合には、原則として3年間繰り越して所得から差し引くことができる
雑損控除の方が有利となります。
特定支出控除
特定支出控除とは、特定支出の額の合計額が給与所得控除額の2分の1(最高 125 万円)を超える場合、
その超える部分について、確定申告を通じて給与所得の金額の計算上控除することができる制度のことです。
特定支出に該当する項目は下記になります。
この控除の適用を受けるためには、確定申告書にその適用を受けること・特定支出の額の合計額を記載し、
特定支出に関する明細書・給与等の支払者の証明書を添付する必要があります。
また、確定申告書等の提出に当たっては、領収証等を添付するか、その提出の際に提示しなければなりません。
株で損をした時(損益通算・繰越控除)
損益通算とは?
その年の株式取引における損失と配当利益とを足して、所得計算することをいいます。
この場合の「所得=株式など譲渡所得」です。損失もきちんと計算に入れなければ、
配当益にのみ税金がかかってしまい損をしてしまうことがあります。
なお、損益通算する場合は、確定申告が必要です。
繰越控除とは?
損益通算によって控除しきれない程の損失が発生している場合は、翌年から3年間は繰越で利益から控除することができます。
繰越控除を利用する場合にも、損益通算をする時と同じように確定申告をする必要があります。
過去に損失を出していたにもかかわらず確定申告をしていなかった場合でも、会社員など確定申告の義務がない人であれば、
5年前までの損失なら遡って申告することができます。
iDeco・NISA
iDeco(イデコ)とは?
個人型DCのことで、国の年金だけでは足りない老後資金を税金メリットのある仕組みを使って積み立てていく制度です。
口座開設後に毎月自分で掛金を出して投資信託や預貯金などで運用していきます。
DC=確定拠出年金
「メリット」
- 毎月の掛金を支払う時には、その掛金が所得控除の対象となる。
- その年の所得税と翌年の住民税が安くなる。
- 節税分は、所得税については年末調整に上乗せされ戻ってくる。
- 住民税は、翌年5月から毎月給与天引きされる住民税が安くなる。
- 運用で増えた分に税金はかからない。
- 受け取る時にも退職金や公的年金の税制が適用されるので、税金負担が軽減される場合があり。
NISA(ニーサ)とは?
証券会社や銀行で専用口座をつくると、年間200万円、5年間で最大1000万円までの投資額について非課税になる制度です。
また、年間の上限40万円で20年間非課税になる「つみたてNISA」もあります。
通常、金融商品を運用して利益が出れば税金がかかります。
NISAを使えばその投資による利益が5年間非課税となります。
運用における確定申告は不要です。
扶養控除
高校生以上の子供を扶養している場合には、所得税と住民税を計算する時に、扶養控除を受けることができます。
扶養控除は親と同居して、家族全体の生活費を負担している場合に受けることもできます。
親が65歳以上で年金生活を送っていて年金額がひとり158万円以下の場合には、扶養に入れることができます。
扶養に関する記事は、下記でもまとめていますので、
良かったら確認してみてください。
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寡夫(寡婦)控除
「寡夫(婦)」とは?
配偶者と死別や離婚のあと、再婚しておらず、親などの扶養親族や生計を一にする子がいる人です。
離別か死別か、性別や年収によって控除額が変わります。
配偶者と離婚又は死別した場合であれば、寡婦控除(寡夫控除)によって節税することができます。
寡婦控除とは、シングルマザーやシングルファザーへの税金を安くするという制度です。
女性の場合
死別、離別を問わず、扶養親族または合計所得38万以下の子供がいる場合、
または、本人の合計金額が500万円以下での配偶者と死別した場合は、控除額は27万円となります。
「特別寡婦控除」とは?
配偶者と離別か死別か問わず所得が500万円以下、かつ扶養親族である子どもがいる場合に
受けられる制度で、控除額は35万円です。シングルマザーの場合には、合計所得金額が500万円以下になるケースが
多いので「特定寡婦」に該当し、8万円上乗せされて控除額が35万円になるので、より節税効果が大きくなります。
男性の場合
離別か死別を問わず、扶養親族または合計所得38万以下の子どもがいる場合には、
27万円の控除を受けることができます。
寡婦控除とは異なる点は、特定寡婦のような控除額の上乗せはありません。
また、寡夫の場合には寡婦とは違って、生計を一にする総所得金額等が38万円以下の子がいることが
控除を受けられる条件となります。
寡婦(寡夫)控除)は、会社員の場合は年末調整で受けることができますが、
手続きを忘れた場合には確定申告をすることで控除を受けることができます。
まとめ
いかがでしたか?
- 住宅ローン控除
- 生命保険料控除
- ふるさと納税(寄付金控除)
- 医療費控除
- 災害・盗難にあった時
- 特定支出控除
- 株で損した時(損益通算・繰越控除)
- iDeco、NISA
- 扶養控除
- 寡夫(寡婦)控除
それぞれの手続きについては、確定申告が必要であったり不要なものもありますので、
申請方法についてはご注意ください。
少しでも会社員の方の節税の参考になれば幸いです。