働き方改革① 有給・残業ってどうなるの? – 背景・目的・見直されたこと –
前回の記事では、「働き方改革とは?」に焦点を当てて書かせていただきました。
今回は、実際に各企業で、その取り組みがどのようにされているのかを解説していきます。
「働き方改革」をきっかけに「いい会社?悪い会社?」で書いたような、定着率の良い会社のヒントになれば幸いです。
目次
「働き方改革」の企業事例 7社
大和ハウス工業
目的
- 長時間労働の是正
- 有給休暇を取得しやすく
取り組み
- ロックアウト制度→21時を過ぎると事務所が閉鎖される
- ブラック事業所認定制度→時間外労働の社内基準に抵触する事業所に、是正指導やペナルティを設ける
- ホームホリデー制度→年次有給休暇取得を促進
効果
- 平均残業時間、10%削減
- 有給取得率は約3倍
ダイドードリンコ
目的
- 健康長寿社会の実現
- 生産性向上
- 社員が生き生きとした会社
取り組み
- カフェインナップの実施→休憩15分前にコーヒーを飲み、15分間昼寝をする。
- 半個室スペースを設置
- ストレッチ体操の実施
- インストラクターによる講習会の実施
効果
- 集中力がアップ、会議時間の短縮
- 時間外労働の平均値が-11時間
- 労働時間短縮によって生まれた時間を、自己啓発にあてる。

オリエンタルランド
目的
- 従業員のサービス力向上
- お客様満足度アップ
※従業員の待遇改善が、サービス向上に繋がるという考えを基に実施。
取り組み
- 契約社員800人の正社員化。
- 従業員に安心して働ける、キャリアを描きやすい環境の提供。
効果
- 採用時のエントリー者数が2倍以上に。
- 内定辞退者や退職者が減少

マルコメ
目的
- 労働時間の削減
- 生産性の向上
- 社員の負担軽減
取り組み
- RPAの開発と導入→業務を自動化
RPAとは:AI機能などの学習機能を取り入れたソフトウェアタイプのロボット。
効果
- 効果作業時間が4分の1に。
- 70%の労働時間削減
- カットされた労働時間を別の業務
日本航空株式会社
目的
- お客様へ最大限のサービスを提供するための環境作り
- 残業時間、労働時間の削減
取り組み
- テレワークの導入、理解を深める為に社員への周知・啓発を積極的に実施
- ワークスタイルの変革と総労働時間の減少を呼びかけ
- テレワーク勤務者には、フレックス勤務制度を導入
- ワーケーションの導入 休暇先でテレワークを許可する制度
効果
- 残業時間20%削減
- 前年総労働時間比が12時間減少

富士ゼロックス東京
目的
- 従業員が新たな挑戦ができる環境作り
- 労働時間の短縮
取り組み
- 協調タイム制度の導入、
- 任意でコアタイムを変更、コアタイムを設定せず、在宅勤務
協調タイム制度とは:社員が生活スタイルに合わせて働き方を決定する制度。
効果
- テレワークを利用する社員の割合が50%超に
- 直行直帰がスムーズに
- 労働時間が短縮
- 定時より早い時間に帰社する社員が全体の65%に
サイボウズ株式会社
目的
- 育児や介護のために思うように出社ができない社員のための環境作り
取り組み
- 社員自身がが時差出勤・短日数勤務等、どのような働き方をするか宣言し、社内で情報共有している
- 給与を初めとした人事・労務関係の書類のペーパレス化
- 社員にノートパソコンを貸与、どこでも業務できるような環境作り
効果
- 離職率が7分の1に
その他 企業の取り組み
ヤフー
「才能と情熱を解き放つため」の改革を積み重ねています。人事評価制度を見直し、一人ひとりの貢献を評価できるようマネジメント変革を先に進めました。
味の素
「7時間労働で新たな価値を創造する会社」を目標に掲げ、ダイバーシティ&ワーク・ライフ・バランスのための施策を、社員全員に関係する制度にしました。社員の関心と経験値を高めることに成功しています。
日本電産
1年半弱で社員の残業時間半減を実現しましま。売上を10倍にするために、1000億円を投じて、生産性を2倍にするという、大胆かつ明確な目標とトップダウンのメッセージで短期間に結果を出しています。
まとめ

いかがでしたか?
これら事例で取り組まれたことは、さまざまですが、共通しているのは、「企業戦略」と「働き方改革」がリンクしていることです。
サービス向上やお客様の満足度を上げていきたいという得たい成果を軸に、その為には、「社内の体制をどうしていくべきか」、「社員の働き方をどうしていくべきか」を追及していったのだと感じます。
「働き方改革」の成功、正解は企業それぞれの形があると思いますが、ただ法令遵守の為だけの「働き方改革」は本当の意味での「改革」ではないのかもしれません。