働き方改革は、まだ始まったばかりです。
「企業」、「従業員」、双方の立場で、導入時、導入後、さまざまな問題は出てくるでしょう。
「働き方改革① 有給・残業ってどうなるの? – 背景・目的・見直されたこと – 」
上記の記事で、働き方改革の具体的な内容や企業の取り組み事例を書きました。
しかし、成功事例として挙げた内容については、あくまでも数字上の結果、相対的な評価です。
今回は「働き方改革」における問題点、注意点を取り上げ、解決法について書かせていただきます。
目次
企業側の3つの問題点
- 経費の増加
- 高度プロフェッショナル制度の乱用
- サービス残業や管理職の負担等の増加
人件費等のコスト増加→利益の減少
働き方改革を実施すると、人件費の増加やシステムの導入などでコストが高くなってしまいます。
人件費が上がる要因は、「年次有給取得の義務化」と「同一労働同一賃金」の2つがあります。
「年次有給取得の義務化」に伴い、賃金をもらいながら休む人がいれば、休んだ方の代わりの方が働くことで、人件費は増加します。または、休んだ方の労働が他の人にまわり、その人に残業代を支払うことによって人件費が増加します。
そして「同一労働同一賃金」により、今までは賃金差があった仕事も同じ賃金にする必要があります。雇用している人数が多ければ、人件費負担の増加幅も大きくなるため負担増です。
また業務の効率化の為に、人ではなくシステムを導入する企業も多くなっています。
企業全体で大規模なシステムをつくる必要がある場合、システムを導入する為のコストが莫大にかかってしまいます。
高度プロフェッショナル制度の乱用
高度プロフェッショナル制度
一定額の収入以上の専門職に就く人に対して、働いた時間ではなく成果で評価する制度のこと。
上記のような「一定額の収入以上の専門職に就く人」については、労働基準法の残業時間上限やそもそもの概念、休憩、休日などに関わる規制もすべて対象外になります。
そのため、使い方によっては、労働基準法を無視した働き方を会社が指示したとしても問題にできない可能性がでてきます。
「残業代も支払われない」、「長時間労働を命令されても問題にならない」という結果を生む危険性があります。
サービス残業や管理職の負担などの増加

残業時間が規制されても時間内に仕事が終わらなければ、家へ持ち帰って仕事をしたり、退勤時間を誤魔化して仕事する等のサービス残業への懸念もあります。
また、管理職は残業規制がない為、負担が増える可能性があります。
従業員側の3つの問題点
- 収入の減少
- 業務量は減らない
- 結果をより求められる
収入の減少
就業時間が短縮及び削減されたことにより、得られるはずだった残業代が減少するなどの影響が考えられます。
今まで得ていた残業代が減少するということは、収入自体が減ることを意味しており、従業員としては死活問題です。
最近では、副業を推奨している企業も増えてきましたが、未だに国内企業の多くは、副業を禁止しているところが多いのも事実です。
業務量は減らない
時間外労働の上限が設定されたことにより、今までのように残業ができなくなりました。就業時間内にこれまでの業務量をすべて終わらせなければなりません。
しかしながら、そもそもの業務量が減少したわけではないのです。
企業側の問題点でも挙げましたが、管理職の負担増にも繋がりますし、持ち帰り仕事などの懸念があります。
結果をより求められる
前段での話に繋がりますが、長時間労働の是正がおこなわれても、一人ひとりが抱える業務量が減るわけではありません。むしろ、状況や立場によっては増加する可能性もあります。
そのため、従来よりも短い労働時間の中で、今までと同等か、あるいはそれ以上の成果を出すことが求められます。
「働き方改革」問題点の解決3策
- 現状分析と問題点の整理
- 従業員への共有
- 無駄の廃止
現状分析と問題点の整理

働き方改革と言っても、取り組む内容や解決すべき課題は多岐に渡ります。また、各企業・現場によって、労働環境は違う為、その環境に合った施策を打たなければ、本末転倒になりかねません。
「現状の分析」と「問題点の把握」の詳細を的確に分析することが不可欠です。
机上の分析だけでは、絶対にいけません。まずは現場にヒアリング、細かく把握し た後に解決方法を導き出しましょう。
例えば残業時間の規制にしてみても、勤怠記録上の問題だけを見てはいけないということです。規制する以前に、サービス残業が横行していたりしたら、間違った分析・課題抽出になりかねません。
その上での「現状分析」→「企業の施策の擦り合わせ」が大事です。
※ヒアリングについては、前提条件として、労働環境の風通しが良いことがあげられます。
従業員への共有
働き方改革は、従業員の為の改革でなければいけません。企業側の押し付け改革では本末転倒です。
その為には、まず一番自社が問題としている部分を解決することにフォーカスし、働き方改革におけるゴールとプロセスを従業員全体に共有しましょう。
全体に共有すれば個々の目的意識を高めゴールに向かうモチベーションを醸成できますし、ポジティブに取り組むことで生産性・売上のアップにつながる可能性も出てきます。
無駄の廃止
労働生産性の向上を達成するためには、企業の無駄な業務の廃止、業務の整理による最適化を図ることが必要です。
例えば、形式的で誰も必要としていない研修やディスカッション、発言者が少ないミーティングの廃止などです。

まとめ
企業側の3つの問題点
- 経費の増加
- 高度プロフェッショナル制度の乱用
- サービス残業や管理職の負担等の増加
従業員側の3つの問題点
- 収入の減少
- 業務量は減らない
- 結果をより求められる
問題点の3つ解決策
- 現状分析と問題点の整理
- 従業員への共有
- 無駄の廃止